第十七章

手がかりはネクタイ

通勤途中のローソンの前にネクタイが落ちていました。
まさに今までつけてました、という脱ぎたて具合。

なぜこんな歩道の真ん中にネクタイが落ちているのか、
ホームズのごとく推理してみました。

推理1.

アパレル関係の店でバイトをしている大和君(22)。
今日も一日バイトです。
今はバイトだけど、いつか自分の店を出せるようにがんばっています。

アパレル関係はファッションに詳しくないといけません。
お店に来たお客さんの服選びの相談にも乗れないといけません。
大和君は毎月数冊のファッション誌を買って研究しています。
常に流行に敏感である必要があるからです。

いろいろな専門用語も覚えました。
ファッション関係の言葉はたくさんあるので大変でした。

接客の仕方も学びました。
アパレル関係は基本的に客商売。
誰とでも気軽に、しかも丁寧に接する事が大切です。

お金の管理もやりました。
売れた服と仕入れの服、返品された物など
さまざまな要素で上下するお店のお金を
間違うことなく管理できてこそ一人前です。

力仕事もがんばりました。
服というのは意外と重いのです。
毎日、マネキンに服を着せたり、棚に服を運んだりと、
想像以上に大変です。

小さいもの、たとえばネクタイなども
量が多くなるとかなりの重さです。

仕入れのトラックから店内へネクタイを運ぶ際に
なるべく少ない往復で運べるよう、大和君は
大量のネクタイを両腕で抱え込んで運ぶ事にしました。
こうすればずいぶん持つことができます。

でも大和君の手からするりと落ちたネクタイが
トラックの車体の下へと滑り込みました。
大和君は気づいていません。

すべてのネクタイを店内に入れると
トラックの運転手にお礼を言って
大和君は店内に入っていきました。

トラックが発車したあとに、ひとつのネクタイが残りました。
でも誰も気づいていません。

次の朝、私がローソンの前を通りがかるとネクタイが落ちていました。
大和君が店内に運び損ねたネクタイ。



推理2.

窓際族の竹下さん(48)は万年係長。
今日、ついに部長からリストラ宣告をされました。

この支店に転勤になった時、じきリストラされる事はわかっていました。
バリバリと仕事をしてきた本社から、
ここ数年赤字続きの支店に移された時に。

「島流し」とも言われる、この支店へ転勤になると
すぐに退職する人もいます。
でも竹下さんはひたすらがんばりました。
22歳で就職して、ずっと働いてきた会社でこれからもずっと働きたかったのです。

でもリストラされました。
今日、昼休みが終わった時に部長に呼ばれて
静かに宣告されました。
部長が買ってくれたカップのコーヒーを握り締めて
竹下さんはずっとうつむいていました。

退社時間が来るまで残務処理をしました。
次に来る人のために机も整理しなければいけません。
次にリストラされに来る人のために。

竹下さんは今まで接待でしか行った事のないキャバクラに
今日、初めてプライベートで行ってみました。
最後の夜に部下たちを誘って。
いや、部下だった人たちを誘って。

真面目で通ってきた竹下さんも、今夜はハメをはずしました。
泣きたくなる分、笑ってみました。
大声で歌ってみました。騒いでみました。
今まで冷ややかに見ていたネクタイハチマキも初めてやってみました。

なんだか気持ちよかったです。
明日からどうなるかわかりませんが、
今夜はとにかく気持ちよかったんです。

店を出て、竹下さんはネクタイハチマキを取りました。
もうこのネクタイを使う事もありません。

今までずっと一緒だったネクタイをグッと握り締め、
竹下さんは思い切り空に放り投げました。
ネクタイは奇妙な動きをしながら、パサリと歩道に落ちました。

そのまま竹下さんは駅の方へ向きを変え、
財布から定期券を取り出し、丸めて捨てました。
今夜は久しぶりに切符で帰ろうと思いました。

次の朝、私がローソンの前を通りがかるとネクタイが落ちていました。
リストラされた竹下さんのネクタイ。



推理3.

家族に恵まれた中嶋さん(40)。
決して美人というわけではないが、優しくて家庭的な奥さん。
特別グレる事なく、元気に育った息子。
いい高校へと進学を決めた優秀な娘。

知り合いからもよくほめられるいい家庭です。
絵に描いたような幸せな家庭。

実際、中嶋さんは幸せでした。
いえ、中嶋さんだけでなく、家族みんなが幸せでした。

でも、中嶋さんには嫌なクセがありました。
会社から帰ってすぐにお風呂に入るのですが、
脱いだものを散らかすのです。

「もう〜!脱いだら脱ぎっぱなし!
 洗濯物は洗濯機に入れてって、いつも言ってるでしょ!」

いつもこんな風に奥さんに怒られるのに
一向に直りません。

お風呂の前の廊下には中嶋さんが脱いだものが
転々と落ちています。
お風呂に向かいながら服を脱ぎ捨てて
お風呂の直前で全裸になって、そのままお風呂に入るわけです。

中嶋さんとしては子供の頃からこうしてきたし、
この方がお風呂に入る気持ちが高まるので好きでした。

でも、奥さんは嫌な予感がしました。
毎日、少しずつではありますが
助走が長くなってきてるのです。

最初は廊下だけにすべての服が脱ぎ捨てられていたのに、
そのうち玄関の辺りから上着が脱ぎ捨てられ始め、
徐々に脱ぎ捨てていく距離が伸びています。

ついには玄関のカギを開ける前に上着を脱ぐ始末。
確実に助走が長くなっています。

でも、さんざん注意しても直る気配はありません。
それどころか、毎日順調に助走距離を伸ばしています。

一週間前には、ついに電車の中で
背広の上着とズボンを脱ぎきってしまうというありさま。
完全にフライングです。

そして今夜はさらに助走を伸ばし、
帰るための駅に行くまでに上着を脱ぎ、
ネクタイを外して脱ぎ捨てたのです。
電車に乗った時にはすでに半裸でした。

次の朝、私がローソンの前を通りがかるとネクタイが落ちていました。
お風呂に入るために中嶋さんが脱ぎ捨てたネクタイ。


どれが真実だとしても、とっても自然ですね。


面倒な当選確認

こないだ本屋で本を買った時、クジをもらいました。
番号が当たっていれば図書券がもらえるやつです。

値段の高い専門書を何冊か買ったので
クジもたくさんもらえました。

で、当選発表が始まったので
自分のクジが当たっているかどうか見に行こうと思ったわけですけども、
店頭でクジを持ちながら見比べたりしてたら
明らかに当選発表を見に来ているみたいじゃないですか。
いや、当選発表を見に来てるんですけども。

なんか恥ずかしいじゃないですか。
「そんなに図書券が欲しいのかよ」って感じじゃないですか。
いや、図書券が欲しいんですけども。

だから携帯を使いました。
私のクジは816770番から816779番までの10枚だったので
「816770−816779」という番号に電話をかけて
すぐ切るわけです。

こうすればリダイヤルに履歴が残るので、クジを直接見なくても
携帯を見れば当選の確認ができるというわけです。

最近は誰もが携帯を持っている時代。
本屋で携帯をいじくっていても不思議ではありません。
ましてや仕事帰りのスーツ姿で携帯を操作していれば
「仕事に忙しいビジネスマンが
 わずかな時間を利用してビジネス書を探しに来ているのねステキ好き結婚して」
と店員さんに思われてしまうでしょう。困ったものです。

と、こんなに苦労して当選発表を確認しに行ったんですけども
一番低い100円図書券すら当たりませんでした。

僕の時間を返して。


堂々とオナラを

人前ではオナラをしないのが常識のひとつになっている。
よっぽど打ち解けた仲であれば別だが、
普通に接している程度の人の前ではオナラはしないだろう。

でも、くしゃみをしたり咳をするのは特に問題ない。
「あ、調子が悪いのかな」ぐらいにしか思われない。

似たような生理現象なのにオナラはダメだ。
臭いがあって人に不快感を与えるからか、とも思ったけど
咳やくしゃみはバイ菌が含まれている。
こちらの方がよっぽど害があるわけで。

あまりにもオナラが差別されている。
自由にオナラができる場所が少なすぎる。

人によってはトイレでオナラすればいい、と思うかもだが
これも割と嫌がられるだろう。
私もトイレでおっさんにオナラされたら嫌だ。

そこでオナラ専用トイレを作るのはどうだろう。

そこは放屁するためにある場所。
自由に放屁していい場所。

オナラ専用トイレ。
「トイレ」と呼ぶと排泄する場所を表すので
区別するために「オナランド」と呼ぼう。

21世紀からは税金の公共物予算の中に
オナランドの建設費も含め、街に公衆オナランドを建てる。

オナラをもようしたら、すぐに近くのオナランドへ。

オナランドの中は照明が制限され、
他人の顔が見えないように薄暗くなっている。
オナラ主のプライバシーを保護するためだ。

そしてすごいロックが流れてる。
バリバリのヘヴィメタだ。
これで音ありのオナラでも大丈夫。
ドラムの音と区別がつかない。
人によってはエレキギターの音になるかも。

さらに超高性能の換気装置もある。
音なしの臭いオナラでもすぐに消臭。
どこよりもクリアな空気に浄化するのだ。

人によってはオナラが出やすいように
軽く歩いてみたり飛び跳ねたりして
体の中からオナラをしぼり出す。
ロックが流れているので体も動かしやすい。


よく考えたら、これって「クラブ」じゃないのか。

まさか。


リモコン生活バンザイ

プレステ2にリモコンが付いた。
離れたところからもプレステが操作できるわけだ。

今はもうなんでもリモコンである。
テレビ・ビデオはもちろん、コンポ・エアコン・電灯・扇風機、
ガレージのシャッターを開閉するリモコンもある。

パソコンのワイヤレスキーボードやワイヤレスマウスも
リモコンみたいなものだ。

とにかく自分がわざわざ動かなくても
離れたところから操作できる。運動不足推奨商品。

リモコンは金になる。21世紀はリモコンの時代だ。

私もリモコンのアイデアを考えた。
これで特許を取れば大金持ちだ。

まずは携帯電話のリモコン。

携帯を離れたところに置いててもリモコンで操作できる。
リモコンにマイクとスピーカーがついてて話をする事もできる。
わざわざ携帯を置いている場所まで行かなくても
電話できるわけだ。

もちろん携帯に着信があれば、リモコンも音で知らせてくれる。
リモコンの通話ボタンを押せば、
携帯がなくても電話に出ることができるのだ。

外出する時も携帯を持ち歩く必要はない。
このリモコンさえ持っていれば
どこにいても電話が使えるのだ。スゲエ。

あと、トイレの水を流せるリモコンとかもいい。
わざわざトイレに行かなくても水が流せる。便利。
離れたところからウォシュレットも出せたり。最高。


人より得する方法

他人よりも遥かに得した人生を送る方法を考え出しました。

紙コップ式の自動販売機でコーヒーを買う時に
目一杯「濃い」ボタンを押して、目一杯「砂糖多め」ボタンを押して
取りだした紙コップにお湯をたくさん注げば
同じ90円でコーヒーが2杯分ぐらい飲めます。

天才。


緊急時に備えて

急な心臓発作とか、ありますよね。

まあ、もともと心臓発作ってのは急に起こるわけですが。

つまりいつ起こるかわからないわけですよ。
もしかしたら、この瞬間にも心臓発作が起こるかもしれないわけで。

そうなると救急車で運ばれるわけです。救急だから。
その時のその状態のままで病院行きですわ。

病院だから医者とか看護婦さんとかいるわけですわ。
ちなみに看護婦さんにも美人で彼氏のいない人がいるかもしれないんですわ。
そこで私とその看護婦さん(田中麗奈似)が恋に落ちるかと思いきや、

たまの日曜で家でゴロゴロしてて髪の毛ボサボサ。
よれよれのセーターと穴の開いたジーパン(部屋着)。
風呂は面倒だから入ってない(2日目)。

という状態かもしれないじゃないですか。

なんていうか、人間、中身も大事だけど、外見も無視できないわけで。
シンデレラもボロい服のままなら王子様にホレられなかったわけで。

急性盲腸炎とかなら
着替えて風呂入って髪の毛セットしてヒゲを剃るぐらいは
痛みを我慢しながらできるかもしれませんが、
心臓発作はいきなりすぎるから
普段から身だしなみに注意しとかないといけないわけで。

たとえ仕事中に病院に運ばれて
スーツでバリバリ、髪の毛バッチリだったとしても
手術のために服脱がしたらピカチュウのパンツだった、
とかじゃヤバいじゃないですか。

そこはホラ、靴下も穴開いてなくて爪も切ってあって
ブレスケアも飲んでおかないとダメなんですよ。
なにぶん医者も看護婦も初対面なわけだから
そうそう気楽な姿を見せるわけにはいかないわけで。

そんな事を考えてるとおちおち心臓発作できないわけで。
日頃から病院行きにならないように注意して、みそ汁は塩分控えめなわけで。
つくづく病気って怖いなぁ、と。

あと、歯の治療中に歯医者さんが心臓発作になったら
どうなりますか?
回転中のドリルは口の中でどうなりますか?


今日の挨拶シリーズ

じゃあ、みのもんたは健康なはずだよな!(今日の挨拶)

セガサターンって燃えないゴミでいいんだよね?(今日の挨拶)

ミニスカートの下のショートパンツ撲滅運動発足。(今日の挨拶)

「Sorry.Japanese Only.」って外人は来ねぇだろ、外人は!(今日の挨拶)

「相互リンク大歓迎」って「女なら誰でもいい」みたいだね。(今日の挨拶)

だから「歩く歩道」じゃなくて「動く歩道」だってば。(今日の挨拶)

えっ、男同士でメル友?(今日の挨拶)

「hide」と「hyde」とどっちがX JAPANかよくわからなくなる。(今日の挨拶)

「おすわり」って犬的には楽なの?(今日の挨拶)

どうしてもコーヒー牛乳が調合できません。(今日の挨拶)

安達祐実はいつまでたっても小学生に見える。(今日の挨拶)

「ゼルダの伝説」の主人公はゼルダじゃないって言ってるだろ。(今日の挨拶)

あの子、磨けば光るよ。(今日の挨拶)

「犯人はこの中にいる!」 「お前も含めて?」(今日の挨拶)

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