運送日記

運送日記 その25

配達を始める前に、伝票の住所を頼りに地図で場所を調べる。
だが、いくら探しても地図に載ってない家があった。
番地が一番違いの家は見つかったので、
その近くにあるのは間違いないのだ。
まあ、そんな事はよくあるので
実際に行ってみたらわかるだろうと思い、出発する事にした。

しかし、その場所に着いても、やはり番地が一番違いの家しか建っていない。
ちょうど、その家の奥さんだと思われる人がたき火していたので、

「すいませーん。この辺に藤本さんて家、ありませんかー?」
「あー藤本さんはねー、ここをちょっと奥に入った所の
 バスに住んでいます」

意味がわからなかったが、とりあえず行ってみると
確かにあった。バスが
バスを改造して住んでいるのだ。
だから番地があるだけで、地図に載っていなかったのだ。
郵便ポストもちゃんと立っている。

そして山ほどの犬猫たち。
小さいものから大きいものまでいろんな犬や猫がいる。
バスのドアの部分は透明なビニールのような物がつけられていて、
中ででかい犬がウロウロしているのが見える。
藤本さんらしきおじさんもいる。
聞いたところ、ハンコもないようなので、とりあえずサインですました。

テレビなどで、電車の車両やバスを買い取って、
そこで住んでいる人を見た事はあるが、
実際に荷物を届ける事になろうとは。


運送日記 その26

運送屋を始めてからいろんな動物を見た。
犬や猫はもちろん、キジやキツネも見た。

この前、それほど田舎でもない住宅地に荷物を届けに行った時、
一戸建ての家の庭に一匹ずつヤギヒツジと犬が放し飼いされていた。
っていうか、ハイジですか?


運送日記 その27

事故に遭遇した。

私が荷物を届けるため、ある家の前に駐車していると、
後ろからおばさんの乗った普通車が来た。
道は普通車2台がギリギリすれ違えるほどの幅なので
私の車の右側を通るしかないのだが、
おばさんはなぜか私の車のすぐ後ろに車をつけた。
見通しは悪くないので、対向車がいないのは明白だった。
つまり、早く私の車の右側を通って行けばいいのだが
おばさんは後ろで停車しているのだ。
私の車はエンジンを切っていて完全に駐車状態である。

そこへ、さらに後ろから美人女性の乗った軽ワゴンが来た。
軽ワゴンは私の車で道路の左側がふさがっているのが目に見えているので、
はじめから右側を走っている。
私はドアを開けて外に出たかったので、後ろの車が通り過ぎるのを待ちながら
ずっとこの様子をドアミラーで見ていたのだ。
そして、いざ美人女性の軽ワゴンが横を通り過ぎようという時に
ふいにおばさんが後ろを確認せずに右側へ車を発進させた。
軽ワゴンの進路にいきなり左から普通車が出てきたわけで
軽ワゴンは左の角を普通車にぶつけられて、右側にはじかれ、
道路の右側の電信柱に衝突した。

一瞬の事だった。
人気(ひとけ)の少ない住宅地だったので
事故に遭遇したのは私たち3人だけ。
それも確実にすべての状況を見ていたのは私だけだろう。

美人女性の軽ワゴンはドアが歪んだらしく、
運転手側は開かなくなってしまったようだ。
とりあえず怪我人はなかったので警察を呼ぶ事にした。

このままでは道がふさがったままになるので
ちょっと端に車を寄せたのだが、
おばさんの運転は見るからに危なっかしい。
美人女性は見るからに美しい
どう見てもこの事故はおばさんの過失が大きかった。
ちなみにこれは美人とかおばさんとかは関係なく、
あくまで客観的に判断した意見である。

警察が来てからも私は少し証言しただけで、
すぐに「帰っていいよ」と言われた。

この事故に遭遇してから、やけに運転が恐くなった。


運送日記 その28

配達していると、よく犬に吠えられる。
それも狂ったように吠え続ける犬が多い。
てめえの主人に荷物を届けるんだよ!!
と言いたいのだが、言っても無駄な様子なので、いつも無視する。

とりあえず、犬を飼っている家に入る時は
まず犬の鎖の長さをチェックし、予想される行動半径には近づかないようにするのだ。
でも鎖を引きちぎりそうな勢いで飛びかかってくる犬はかなり恐い。

ほとんど何も反応しないおとなしい犬はいい。
一番いいのは初対面の私にも、しっぽを振ってなついてくる犬だが
番犬としてはまったく役に立たなそうだ。

ある会社に配達に行った時に、車を降りた途端、事務の女性が会社から飛び出てきて
そこ!犬、いますから!!
ってすごい剣幕で言われた。
見ると、太い鎖が犬小屋の中へとつながっている。
その小屋まで相当離れているのに
わざわざ注意しなければならない犬ってどんなの?


運送日記 その29

ある家に配達に行った時に、荷物を渡したおばあちゃんに
缶コーヒーをもらった。
胸がキュンとなった。


運送日記 その30

昼にローソンで買い物をする事が多い。
パンやおにぎりよりも、あったかシリーズ(自己命名)が好きだ。
すなわち「ジャイアントフランク」、「フライドポテト」、
「アメリカンドック」、「からあげクン」である。
私のお気に入りは「アメリカンドック」と「からあげクンRED」だ

でも、
「からあげクンのレッドください」
って言うの、なんか恥ずかしいんだよ。


運送日記 その31

ローソンでアメリカンドックをよく買う。
私はアメリカンドックがかなり好きなのだ。
祭りなどに行っても夜店で必ず買う。

そして最高に好きなのが、
一番最後に串に張り付いているカリカリした部分だ。
あれは最高だ。
あの部分をビーバーのように前歯でかじっている瞬間が最高に幸せだ。
全部があれでもいい


運送日記 その32

以前にも書いたが、
もらえる金は同じなので、配達する荷物は小さくて軽い方がいい。
大きくて重いのは最悪だ。

だが、大きくて軽いのもかなりムカつく
軽ワゴンに積める荷物の体積は限られているのに
そんなものに幅を取られるのが気に入らない。

荷物名「オオキナ ウサギチャン」。
なんだそりゃ
俺はウサギのぬいぐるみを運ぶためにバイトやってんじゃねえぞ。
俺は一匹狼なんだ。
狼がウサギを運んでどうする。

荷物名「ざぶとん10枚組み×2
代金21210円。
ざぶとん20枚も買い込んで、笑点でもやるんですか?
邪魔だよ。他の荷物が積めねえよ。
バックミラーがざぶとんに遮られて見えねえよ。
これで事故ったら、ざぶとん抱えて死ぬ事になるよ。

荷物名「ホットプレート
届け先「JA」
こっちはがんばって荷物運んでるのに
農協の皆さんはお好み焼でも焼くんですか?
鉄板焼きですか?ホットケーキですか?
うまく焼けたら分けてください。


運送日記 その33

荷物の届け先で、客にいきなり
誰ですか?
とよく聞かれる。
っていうか、主語が抜けてるよ、オイ。

予測される意味:

●あなたは誰ですか
 答え「生島です」

●誰宛ての荷物ですか
 答え「隆志さんです」

●あなたは何者ですか
 答え「運送屋です」

●誰からの荷物ですか
 答え「山本さんです」

●どこからの荷物ですか
 答え「大丸です」

●私は誰ですか
 答え「森本さんです」

さて、どれでしょうね。


運送日記 その34

ある家に届け物に行った時、
ハンコをもらうためにインターホンを押そうとしたら、
どうやらインターホンが壊れてて鳴りにくくなっているらしく、
鳴らすコツが詳細に書かれた紙が張ってあった。


運送日記 その35

前におばあちゃんに缶コーヒーをもらった家に届け物があったので、
またコーヒーもらえるかなーって期待してたら
今度はおじいちゃんが出てきちゃった。


運送日記 その36

みなさん!お歳暮は商品券にしましょう!!
贈る側の好みがイマイチで、受け取り側が困る事もありません。
不要な物を贈られて、困る事もありません。
なによりも運送屋さんがとても助かります
お歳暮は薄くて軽くて小さい商品券が一番です。

運送日記 完
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