恋愛日記

恋愛日記 その40

以前会ったのが火曜日だ。
ペースとしては今日、金曜日ぐらいに電話するべきだと思った。
しかし、前の事もあり、何を話していいかもイマイチわからなかったので
柴田さんの携帯に
「今日、電話しようかと思ってたけど、明日の晩にします」
とメールを送る。
今日はなんだか電話をするような気分じゃないのだ。
ホントはもう関わるのはやめた方がいいのかもしれない。


恋愛日記 その41

そして次の日、なぜかいつもより緊張しながら
電話をかける。

プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プツッ。

「あ、生島ですー」
「はぁい」
「うん…。
 あー、前言ってたとおり、今日、うちの学校の卒業式だったんだよ。
 んで、俺は2年制のコースだったから去年卒業したんだけど、
 3年制のコースの友達とかは今日、卒業していったの」
「え〜、そうなんですか〜?」
「うん。同い年なんだけど卒業する年が違っちゃうんだよ」
「へぇー」

…(かなりいろんな話をする)…
…(なぜかスムーズに次に会う約束ができた)…

「それでさー」
プププププププ…。
「あ、『充電してください』って出てる。
 切れるかも…」
「えっ、ホント?ヤバい?」
「うん」
「あーそうかー、んじゃ、えーと…」
ツー、ツー、ツー。

あ、切れた。
お、20分も話してたのかー。

しょうがないので
「また明日に電話します。次、会う日は木曜日ね。
 たっぷり充電しといてください」
と、携帯電話にメールを送る。
私の携帯も柴田さんの携帯もJ-PHONEのため、
携帯だけで電子メールのやりとりができるのだ。

それから20分ほど経った時、
ピリッ、ピリッ、ピリッ。
あ、私の携帯にメールが送られてきた音だ。
誰からだろ…。

うわっ!!
柴田さんからだ!!
初めてもらった!!うわっ!!
嬉しい!!

急いで内容を確認する。

「ごめんなさい!今日、髪きったの!
 かなりみじかくなってしまった!」 ←っていうか、なんで「ごめんなさい」なんだ?

ええええぇぇぇぇ!!
うそぉぉおおおお!!
柴田さんは肩よりも30センチ長いぐらいの髪だったのだ。

驚きの声を携帯メールで返す。

その後もしばらくいろんなメールをやりとりする。
携帯に文字を打ち込むのが大変だが
こういうのも結構楽しい。

でも、なんだかよくわからない関係になってきたな。


恋愛日記 その42

次の日、昨日の電話がバッテリー切れのために
途中で切れてしまったので、その続きを話すために電話する。
昨日、仲良く電話できただけに
結構、気が楽だ。

プルルルルルル…。プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プルルルルルル…。プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プルルルルルル…。プルルルルルル…。プルルルルルル…。
あれ?出ないなー。
また携帯を置きっぱなしにして
テレビでも見てるのかなー。

10分経った。
そろそろかけてみようか?
いやいや、また出ないかもしれない。
あんまりしつこく電話するのもいやだなー。
もう少しだけ、あと5分だけ待とう。

2分経過…。
うーん。
かけようかなー。
どうしようかなー。
よし、あと5分して、10時5分になったら電話し…、
ピリリリリリリ、ピリリリリリリ……。
ピリリリリリリ、ピリリリリリリ……。

うわっ。
私の携帯が鳴った。
もしや…。

やはり!
ディスプレイに「柴田 紀子」と表示されている。
向こうからかけてきたのだ。

「はい」 ←喜んで電話に出る
「あ、えーと…」
「あ、ちょっと待って。こっちからかけ直すよ」 ←柴田さんの方に電話代がかかっちゃうからね
「え〜、いいですよぉ〜、そんなの」
「いや、いいからいいから。
 じゃ、一旦、電話切るから」 ←電話代が気になって長電話できないと嫌だしね
「はぁい」
ガチャ。

5秒(向こうが電話を切る時間)待って、柴田さんの電話にかけ直す。

プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プルルルルルル…。プルルルルルル…。
プツッ。

「はぃ」
「生島ですー」
「はぁい(笑)」
「あ、そうそう。髪、切ったんだって!?」 ←昨日の携帯メールより
「あ、うん」
「えー?どれぐらいまで切った?かなり?」
「うん。結構…」
「そうなんだー。え〜、だいぶ雰囲気変わった?」
「うーん、短くなったから…」
「そっかぁー。えー、なんで切ったのー?」
「え〜、もう前のパーマがすごい嫌だったんですよぉ〜。
 だから早く切りたくて…」
「だって前の、よかったじゃん。
 ウェーブみたいになってたしさー」
「え〜、あれはダメですよぉ〜。
 すごい嫌だったんですよー」
「そっかー。全然そんな事なかったのになー。
 もったいないなー」
「え…、長い髪の人の方が好きとか…?」 ←ありゃ。気を悪くしたかな?
「ううん。そういうわけじゃないよ。
 似合ってたらそれでいいと思うし」 ←っていうか、髪の長い短いなんて関係ない
「うん」
「んー。また伸ばすわけー?」
「うん…。また伸ばす…かな」
「前ぐらいまでって、だいぶかかるよなー。1年ぐらいかな?」
「うん…、1年ぐらい」

そんな感じで話が続く。
なぜか盛り上がるのだ。

「じゃあ木曜日、前のところで待ってるー」
「はぁい」
「うん。それじゃ、バイバーイ」
バイバーイ」 ←注目!

やったぁぁぁぁあああああ!!
前の電話までは「おやすみなさい」だったのに、
今日は「バイバーイ」だったぞ!!
少しは親しくなってるって事か!?

さらにぃぃぃぃい!
通話時間48分3秒!
よっしゃぁぁああ!!
柴田さんとの長電話記録更新!!
(ただし、通話料920円…)

なんだが、すごく嬉しいぞ!
木曜日のデートが楽しみだ。


恋愛日記 その43

いよいよ木曜日、つまり柴田さんと会う日である。
妙な緊張が襲ってくる。
柴田さんとは駅で待ち合わせだ。
仕事を終え、遅れないように駅に向かう。

そして駅につき、しばらく待っていると
柴田さんが来た。

うわっ。
言ってたとおり、髪の毛がかなり短くなっている。
しかし、かなりかわいい。
ショートへの決断は大成功という感じだ。

しかし…。
しかし、なにやら雰囲気が…。

その雰囲気の違いはすぐにわかった。
駅で会って、短くなった髪について話した時…。
雑貨店に行くために歩いている間…。
雑貨店の中でいろんな物を見ている時…。
柴田さん、全然楽しそうじゃないのだ。
乗り気じゃないと言ってもいい。

こないだの電話とはまったく違う。

「これはもうダメだな」
そう思った。
ふぅ。
まあ、前のデートの最後からなんとなくわかっていたが。
しかたがない。
覚悟はしていた。

「もう、ごはん食べる?」
「……………」
「お腹すいた?」
「……………」
「ん?」
「……………………、
 ……………………、
 ……………………、
 ……………………、
 ……………………、
 …今日は………早く帰りたい………」

ファイナルパーンチ!
とどめである。

「そっか」

私は一言だけ言った。

もちろん柴田さんは、単に「早く帰りたい」わけではないだろう。
男は引き際が綺麗でなきゃいけない。
しつこい男はダメだ。
もうこれ以上付き合わせても何もいい結果は生まれない。

帰るため、駅に向かう途中に私は言った。

「もう、2人で遊ぶのとかやめよっか…」

反応ナシ。

「俺から連絡するのとかもやめるよ」

反応ナシ。

沈黙はYESの意味なのか。
だが、たとえNOでも、もう何も期待しないが。

「もし何かあったら、携帯にメールでもして。
 柴田さん、電話かけるの苦手だろうからね」

そう言い残して、駅で別れた。
おそらく、もう会う事もないだろう。

腹を空かしたまま、駅の階段を上る。
駅のベンチに座り、意味もなく本を取り出して読んでみるが、
何も頭には入らない。

ふと、「29歳のクリスマス」というドラマに出てきた
ひとつの言葉が頭をよぎった。

あした元気になあれ。

恋愛日記 その44

「じゃあさ、俺と付き合ってくれるかな?」
「はぁい」

よっしゃぁぁあああ!!

「じゃ、じゃあ、やっぱいつまでも『柴田さん』じゃなんだから
 『紀子』って呼んでいい?」
「はぁい」

よっしゃぁぁあああ!!

思わずポケモン化。

紀子をゲット

紀子をゲットだぜー!

そんな夢を見ていたが現実は違う。

もちろん、あの日以降、柴田さんからは何の連絡もない。

やはりコンパから恋人になるのは難しい。
普段の生活の中でお互いの性格を知って
仲良くなってから恋人になるわけではなく、
いきなり知らない人とデートする事になるからだ。
ハッキリ言って、お見合いだね。コンパってやつは。


恋愛日記 その45

オチとしては中途半端だけど、
事実なのでしかたがない。
「恋愛日記」、これにて終了。

恋愛日記 完
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