上京日記

上京日記 その24

とりあえず東京には無事に着いた。
新幹線に乗れた時点で東京に着けるのは間違いなかったのだが。

ホームを降りて駅構内に進む。かなり広い。
新幹線の中のトイレ表示の真相がわからないままだったので
東京駅のトイレで用をたす。
東京で初めてのトイレだ。東京トイレ。「少年ナイフ」みたいな響き。

次に行くのは山手線だ。
山手線ゲームで有名な山手線だが、実際に乗るのは初めてだ。
環状線である山手線の外回りに乗って「新橋」を目指す。

駅の中をウロウロしながら無数にある案内表示の中で
山手線らしきものをたどって行く。
驚くのはまだ改札から出てないことだ。

改札を出てないのに、
つまり、今まだ改札の中にいるのにこの広さ。さすが東京。

下手に乗り継ぐと手続きがややこしくなるから
一旦、改札から出てもよかったが、
ちょうど山手線への案内らしきものを見つけたので
それに従い、改札機に2枚重ねた切符を入れる。

2枚ある切符をどう処理しようと思ったが、
張り紙にちゃんと「2枚重ねて入れてください」と書いてあった。

すると、そのうち1枚にスタンプが押され、また出てくる。
進路はそのまま山手線へ。
なるほど。新幹線を降りたらダイレクトに山手線に行けるのか。
話によく聞く東京駅の姿を表から見てもよかったが
今の私にその余裕はない。

とりあえず無事に山手線にたどり着きたいのだ。


上京日記 その25

山手線乗り場までは来たものの、
外回りに乗りたいのに「外回り」「内回り」の表示が見当たらない。
環状線だから逆向きに乗っても
いずれは着くんだろうけど、タイムロスが大きすぎる。
正しい方向で乗れば目的の駅まで10分もかからないはずなのだ。

あわてて資料を取り出し、確認する。
新橋に行くためには「渋谷」方面だ。

切符を買おうかと思ったが、新幹線からダイレクトに来たので
すでに改札の中だ。切符売り場がない。
降りた先で清算しろということだろうか。

不安だが、新幹線のチケットを持ったまま
山手線のホームに上がる。

すぐに電車が来た。あれが山手線か。
日本で一番有名な路線だと思ったが、見てみると普通だ。

平日昼間だからか、それほど混んでいない。
座ろうと思えば座れるが、落ち着かないので立っていることにする。
どうせ目的地まですぐだ。

などと思っていると、シートがおかしい。
いや、シートそのものは普通だが、間に妙な鉄棒がある。

図解:シートを正面から見た図

アミ棚と床をつなぐ棒が、シートの端だけじゃなく
真ん中からもいきなり床に貫通している。違和感ありまくり。

ここをまたいで座るのかと思ったが、
この棒が人と人の間に入るように座るらしい。
恐ろしや山手線ルール。下手に座らなくてよかった。


上京日記 その26

アナウンスが新橋を告げる。
壁にある案内表示も「新橋」を表示している。
間違いない。ここだ。

ごく普通の東京人を装い、電車を降りる。
出口の表示を目指してひたすら進む。

そして改札。そうだ。新幹線チケットしか持ってないんだ。
一応、東京駅から降りたことを表すスタンプは押されているものの
磁気データとして内容に書き加えられているかは怪しい。

このまま自動改札を通ればブザーを鳴らしてしまうのは確実だ。
こういう時は乗り越し清算をするのだ。さすがにそれぐらいはわかる。
辺りを見回し、乗り越し清算機を探す。切符売り場の隣に発見。

これを入れれば差額分が請求され、
改札を出るためだけの切符が出てくるのだ。

そう思って新幹線のチケットを機械に滑り込ませるが、
同じ速度でそのまま出てきた。

マジで?

新幹線からの乗り越しには対応してないのか。新橋め。
他に新幹線用の乗り越し機があるのかと思ったが、
新橋の駅は思ったりも狭く、周囲には何もない。

しょうがない。駅員に直接渡しに行く。
何人かの客を対応している駅員に
話しかけるタイミングをうかがいながら声をかけて事情を話すと、
その場で130円を請求され、なんとか無事改札を出られた。

電車に乗るより降りる方が難しい。これが東京。

注釈:
後日、読者の方から指摘があり、
新幹線の切符だけで、東京都23区内であれば
そのまま下車できたようです。
純粋に東京駅から新橋まで移動した場合には
もちろん乗車賃として130円かかります。
新幹線を降りた東京駅から移動してるので、
てっきり別に運賃が発生すると思い込んでました。

とすると、この時の駅員に130円を請求されたのは
駅員側の知識不足ということでしょうか。
少額とはいえなんだかなぁ(切符まで見せたのに)。

上京日記 その27

とりあえず昼食を済ませたい。
午後2時から受付が始まって、
その後、5時半まで式が続くのだ。
このあたりで一度食事をとっておくほうがいい。

新橋という地名は聞いたことがあるので
多少、有名で賑やかな街なのだろう。
食べる場所が多い方が安心だ。
電車を乗り換える前に食事できる場所を探そう。

新橋駅を出ると小さな広場があった。
噴水らしきものが真ん中にあって、端になぜか機関車が置いてある。
政治家かなんかの男性がマイクで演説している横を店を探して歩く。

雰囲気は大阪の梅田に似ている。
騒がしくて、なにやらごちゃごちゃしている。

途中でマクドナルドを発見。
マクドなら(ここでは「マック」と言うべきかも)日本どこでも同じだろう。ここなら安心だ。
しかし中を覗くとカウンターには凄まじい行列。
時刻は12時を回ったところ。
ちょうどお昼時で会社員やOLがあふれているのだ。

マクドを通り過ぎ、いろんな店を通りがかるが
いずれも満員だ。
満員かどうか確認できない構造の店もあったが
なおさら入りにくいのであきらめる。

コンビニで買って食べてもいいが、
慣れない土地であまり駅から離れるのは嫌だ。

1ブロックをぐるりと回る形で駅まで戻ろう。
地元の人らしきOLがお気に入りの店に並んでいる横を
何もわからない私がドキドキしながら歩く。

ふと横を見ると「1皿150円」と書いている回転寿司屋。
ドアも大きく開けられ、中も見える。席も空いている。
この時間に席が空いているのは何か問題があるからかもしれないが
もともと寿司好きだし、周りの店の混雑状況を見る限り、
贅沢を言ってもしょうがない。

入ろう。

関西にはない特別な回転寿司ルールがあるかもしれないが、
とにかく昼を済ませないといけない。


上京日記 その28

「いらっしゃいませー」

元気な声に迎えられながら席に座る。
周りを見回すと湯のみを発見。
このあたりは地元の回転寿司と同じだ。

湯飲みをひとつ取る。
が、お茶パックがない。周りを探しても置いている場所がない。
おかしい。お茶は確かセルフサービスのはずだ。
湯のみを自分で取って、お茶パックを自分で入れて
お湯を自分で注げばお茶になるのだ。

どこだ。店員を呼ぶべきか。

焦ったが、よく見ると湯のみにすでにお茶パックが入っている。
おおぅ。灯台下暗し。
メガネを頭に乗っけながら
「メガネ、メガネ」と探しているオヤジになりかけた。

お湯を注ぎ、無事お茶になる。

目の前を流れるマグロをゲット。
東京の地で初めて食べる食べ物。初めての東京寿司。

ズガン!
おわ!後頭部まで貫通する衝撃。撃たれた?

と思ったらワサビだ。
かなりワサビが効いている。
私はワサビ好きなのでむしろありがたいが、
苦手な人だったら致死量だ。

サービスで味噌汁もついてきた。ちょっと涙出そう。東京イイトコ。

隣を見ると新人らしきサラリーマン。あちらも1人。
思わず話しかけそうになったが、そこは我慢。不審者扱いされてしまう。

7皿食べて1050円。とりあえず今日はこのへんで。
いいところを見つけてよかった。
結局、この店が空いている理由はわからなかった。


上京日記 その29

昼食も済ませたし、そろそろ電車に乗ろう。
目的地は溜池山王駅。東京メトロ銀座線という地下鉄に乗るのだ。

実はさっき昼を済ませる店を探しているときに
地下鉄の入り口を見つけていた。

早速、そこへ戻り、改札を目指す。

東京に着いて最初に違和感を感じたのはエスカレーターだ。
地元と違って右側を空けている。急ぐ人は右側を進むのだ。
いつもと寄る方向か違うので東京に来た、という感じだ。

さらには周りを歩く人が話す言葉のアクセント。当たり前だが東京なまりだ。
みんなが「だよねーだよねー」と言っているような感じがする。新鮮だ。

かといって大阪でみんなが「でんがなまんがな」と言っているわけではないので
実際には違うのだろう。

切符を買って電車に乗る。

ごく普通の地下鉄だ。
駅に着く直前に「こちらのドアが開きます」と教えてくれるのが親切。

乗っている時の立ち位置の問題もあるので
できればもうちょっと早めに教えて欲しい。


上京日記 その30

そして目的駅到着。
もう電車に乗ることはない。
結局、ほとんど問題なく現地までたどり着けた。

時刻は午後1時前。まだ受付までだいぶある。
目的地は「東京全日空ホテル」だ。

地下鉄の出口から出ると、周りはビル群。都会っぽい。
綺麗で大きなビルがたくさんある。

すぐ横にドトールまである。
ドトールは東京でも同じっぽいが、
もともと関西でもドトールに不慣れなので違いがわからない。

さらに進むと「ANA HOTEL TOKYO」と書かれたビルがある。
これも大きい。
手前に周辺地図の掲示された案内がある。

現在地を探す。発見。地下鉄出口のすぐ横だ。

目的地である「東京全日空ホテル」を探す。
早くも発見。

ん?

地図上では現在地のすぐ横にホテルがある。
しかし実際に見ても
そこにあるのは「ANA HOTEL TOKYO」だ。




む!!




                   ANA = 全日空


                           すなわち、


ANA HOTEL TOKYO = 東京全日空ホテル




謎はすべて解けた! と、同時にいきなり目的地到着!


なんか大きそう。



見上げるとすごい高い。

頼むから表記は統一して。


上京日記 その31

時間が全然経っていない。
まだ1時間以上も余裕があるのだ。

仕方がないので周囲を散歩する。
ホテルの場所を見失わないよう注意しながら
ひたすらまっすぐ歩く。

新橋では小さなエリアを回っただけなので
実際に東京の街を歩くのは初めてだ。

スターバックスを発見。さすが東京。

視界に入るビルも窓がミラーみたいに反射していたり
ガラス張りの部分が多かったり、妙なオブジェが庭に置かれていたりする。
全体的にオシャレっぽい雰囲気を感じる。

もともと時間厳守で行動するタイプなので、
無意味に時間を潰すのは苦手だ。
ゲームセンターかマンガ喫茶があればいいのだが
残念ながらそんな様子はない。

昼の1時過ぎにスーツを着た男が
ウロウロしているだけで不自然な気がするが
気にせずに、ぐるりとビル群の区画を大きく回る。

裏通りになると閑散としていてちょっと安心だ。
犬の散歩をしている人や、地元っぽい人がおしゃべりしている。

新橋と違って静かでゆっくりな感じが落ち着く。
オシャレな喫茶店もあるが、緊張するので入るのはやめておく。

さらに進むと、小さなスペースにベンチが置かれている場所を見つけた。
ここはいい。誰もいないし、静かだ。
ベンチに座って持ってきた文庫本を開く。
ここで時間を潰してしまってもいい。


上京日記 その32

あまり集中できないまま、しばらく本を読んでいると
同じように暇そうなサラリーマン風の男性が1人現れ、
ミスタードーナツで買ってきたらしきものを食べ始めた。

気にせず、本を読む。

しばらくすると男性はいなくなり、また1人。

時計を見るが、まだ20分ぐらいしか経っていない。
ちょっと疲れてきた。

実は時間を潰すのに最適なところがあるのはわかっている。
さっき見かけたドトールだ。

しかし苦手なのだ。
もともと喫茶店に入ろうと思うことがなく、
入る意味もわからない。飲み物なら自販機で買う。

特にドトールのような場所は経験が少ないため、
ドトールのルール(略してドトルール)がわからない。

たしかセルフサービスのはずだが、
詳細を知らない。

不慣れなところは避けたい。
そうやって入らずにいたが、時間が余りすぎている。
しょうがない。
東京1人旅とともにドトールデビューも済ませよう。


上京日記 その33

ドトールへ向かう途中、案内の札を見つけた。


「桜坂」と書いてある。

ホントに?

福山雅治の歌で有名な桜坂は、
ホテルの裏のこんな道路のことだったのか?


業務用のワゴンとか停まってるし、普通の坂だ。

どうも違うっぽい。

ドトールへ向かおう。


上京日記 その34

ドトールへ入る。

他の客がカウンターへ並んで注文している。
ということは注文してから席に着くのだ。

同じように列に並ぶ。
すかさずメニューを見て、カフェモカを選ぶ。
それとホットドックみたいなやつもだ。
食べ物があった方が時間が潰しやすいだろう。

自分の番が来て、店員のお姉さんに注文を伝える。
言われるままにお金を払う。ここまでは間違ってないようだ。

しばらくするとトレイにカフェモカが乗せられ、
「カフェモカのホットをご注文のお客様ー」と男性店員に言われる。
店内にこの条件に当てはまる客がどれぐらいいるのかわからないが、
その中に私も入っているはずなので、とりあえず申し出る。

注文の順番を区別するものがないので、私よりも先に同じ品を注文して
待っている客がいたらトラブルになったりしないのだろうか。
ドトルールでは整理券はないらしい。

そのままトレイを受け取ろうとしたが、
よく見ると一緒に頼んだホットドックが乗ってない。

「○○も頼んだんですが……」

と店員に伝えると

「出来上がりましたら声をかけますので
 それまでお待ちください」

と言われてしまう。

じゃあ、出来上がってから呼んでくれればいいのに
とりあえずコーヒーが出来たら渡してしまうのか。それがドトルールか。

ちょっと怒られた気分でヘコむ。
このまま席に着いてしまうべきなのかどうかわからないが
とりあえず、ちょっと横の方で出来上がりを待つ。
カフェモカだけにしておけばよかったかも。

しばらくすると、また呼ばれたのでホットドックを受け取る。

お金を先に払ってるのに、
客を個別に識別できない方法はちょっと不安だ。
注文の前後や品物の不足などのトラブルは起きないのか。

トレイを持って空いている席に着く。
あと40分。もうここで時間を潰すだけだ。

それにしても店内は客が多い。
平日の昼間なのに、ほとんど満員だ。

みんな無職なのか?よくわからない。


再び文庫本を開いて読み進める。
割といい席を取れたので落ち着く。

よく考えたらさっき回転寿司を食べたばかりなのに
またホットドックを食べている。満腹だ。

カフェモカに砂糖を入れるべきなのかどうか知らないが
甘党の私にはちょっと苦い。
砂糖はどうやらレジ横の入れ物から取ってくるべきだったようだ。
そこまで気が回らなかった。

今日はブラックでいこう(カフェモカだけど)。


上京日記 その35

時刻は午後2時。いよいよ受付が始まる。

他の客を観察する。
なるほど。食べ終わったトレイは返却口まで持っていくのか。

本を片付け、空になった皿とマグカップを乗せたトレイを持つ。
さっきの客と同じように返却口に返し、店を出る。

すぐ横を向くと東京全日空ホテルだ。
遅刻することもなく無事に着くことが出来た。

さっきは横を通り過ぎただけのエスカレーターを上がり、
ホテルの入り口へ向かった。

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