六冊目
4月12日(昭彦23歳)
いよいよ俺もサラリーマンだ。
背広を着ただけでなぜか老けた感じがする。
4月15日(昭彦23歳)
最初は研修ばかりだ。
電話を取る練習や、言葉づかいを習う。
いかにもサラリーマンという感じだが
早く仕事がしたい。
5月1日(昭彦23歳)
美紀の就職が決まったらしい。
建設関係の事務という事だ。
いろんな会社を歩き回って、やっと就職口を見つけたと喜んでいた。
今度の連休にお祝いをする事にした。
6月5日(昭彦23歳)
少し仕事をさせてもらえるようになってきた。
といっても書類の整理などの簡単なものばかりだ。
8月5日(昭彦23歳)
世間は夏休みなのに仕事ばっかりだ。
有給休暇なんてほとんどないし、
とても休んでなんていられない。
大学生がうらやましい。
9月20日(昭彦24歳)
だいぶ仕事も慣れてきたし、
いよいよひとり暮らししようと思う。
今は通勤に2時間もかかるのだ。
会社の近くでいい部屋があればいいが。
10月2日(昭彦24歳)
家賃5万5千円の部屋を借りた。
自由な金は少なくなってしまうが
ひとり暮らしはワクワクする。
12月15日(昭彦24歳)
仕事が忙しくて、美紀ともなかなか会えない。
食事や洗濯を全部自分でやるのは
とても大変だと改めてわかる。
休みの日も疲れて寝ている事が多いので
日記を書く事も少ない。
とにかく疲れている。
1月1日(昭彦24歳)
正月はさすがに仕事も休みだ。
美紀が初詣に行こうと言ったが
お互い仕事で疲れているので
俺の部屋で正月を過ごす事にした。
2月14日(昭彦24歳)
会社の女子社員から義理チョコをもらった。
義理といえども嬉しいが、会社では毎年やってる事みたいだ。
もちろん美紀からももらった。
4月20日(昭彦24歳)
新入社員が入ってきた。
後輩の社員ができるというのは
なんだが自分が成長した感じがする。
中学や高校で2年生になった時も
同じ事を思ったな。
6月5日(昭彦24歳)
後輩たちに仕事の要領を教えるのが大変だ。
俺も去年は周りにこう思われていたのだろうか。
10月23日(昭彦25歳)
仕事をしていると、休みの日まで出かけようと思う事が少なくなる。
休みはとりあえず寝ていたいのだ。
2月28日(昭彦25歳)
美紀が転勤になったらしい。
ちょうど俺の住んでる近くのとこだ。
自宅から遠くなるので、俺といっしょに住む事にした。
さすがに25歳にもなると美紀の両親も
別にとやかく言わないらしい。
家賃が半分になるのでかなり楽だ。
3月10日(昭彦25歳)
美紀に食事を作ってもらったり
部屋に帰った時に出迎えてもらったりすると
なんだか新婚夫婦になったみたいだ。
かなり照れくさいが嬉しい。
7月20日(昭彦25歳)
美紀とケンカした。
部屋でずっと一緒なので
いろいろと気に触る事もある。
7月21日(昭彦25歳)
仲直りした。
ケンカしても出て行くわけには行かないから
仲直りも早い。
1月2日(昭彦26歳)
母さんが突然俺の部屋に来た。
正月だから顔を見に来たらしい。
美紀と一緒に住んでる事は言ってなかったので
かなり恥ずかしかった。
2月28日(昭彦26歳)
貯金を始める事にした。
家賃や生活費で精一杯だったし、
ちょっと金が貯まればすぐに使っていたが
さすがにそろそろ貯金ぐらいしておこうと思う。
4月23日(昭彦26歳)
来月大きな仕事をまかせてもらえそうだ。
入社2年目でやっと一人でやらせてもらえる。
5月10日(昭彦26歳)
明日取引先に出向いて
契約について話し合ってくる。
ここでうまくやれば俺も周りに認められる。
5月11日(昭彦26歳)
隆志に会った。
それも取引先でだ。
あいつ、よりにもよって俺の取引先の会社に
勤めていたのだ。
しかもこの契約の担当らしい。
嫌な感じだ。
5月18日(昭彦26歳)
隆志の奴、さんざん下げてやったこっちの提示額を
まだ高いと言って、契約しようとしない。
今のままでも十分向こうが得するのにだ。
5月20日(昭彦26歳)
やっと隆志が契約した。
最初の提示額よりかなり下げて、
それでやっとしぶしぶ納得した。
それなのに、なんで俺はペコペコしたんだ。
5月21日(昭彦26歳)
だいぶ儲けは少なくなったが
契約を取ってきたという事で
上司が酒に誘ってくれた。
酒に誘われてこんなに嬉しかったのは初めてだ。
6月1日(昭彦26歳)
隆志が突然契約を解除してきた。
納得できない部分があるとか言い出したのだ。
しかもすでにほかのところと契約したらしい。
こっちはかなりの損害の上、俺の立場もボロボロだ。
隆志の奴、最初からこうするつもりだったんだ。
6月28日(昭彦26歳)
前の契約以来、仕事をまかせてもらえない。
当然の事かもしれないが悔しい。
7月13日(昭彦26歳)
猛烈に仕事をしている。
残業も多い。
10月25日(昭彦27歳)
残業ばかりしてると金もよく貯まるが
使う暇がない。
大学の時は時間があっても金がなかったのにな。
12月24日(昭彦27歳)
美紀と婚約した。
プロポーズというほどのものじゃないが、
一応、俺から申し込んだ。
指輪は二人で一緒に買いに行く事にした。
1月15日(昭彦27歳)
美紀と指輪を買いに行った。
仕事ばかりしてただけあって、貯金は結構ある。
美紀が選んだ指輪をプレゼントした。
3月20日(昭彦27歳)
美紀の実家に挨拶に行った。
テレビでよく見る「お嬢さんをください」みたいな事をやったのだ。
そのあとみんなで食事をしてきた。
5月4日(昭彦27歳)
11月に式場の予約が取れた。
普通は1年も前に予約するらしいが
運がよかったようだ。
11月23日(昭彦28歳)
結婚式が終わった。
美紀のお父さんはさすがに泣いていた。
籍は入れたが、とりあえず部屋は今まで通りだ。
新しい所に住む金はとてもないからな。
4月7日(昭彦28歳)
俺の子供ができたらしい。
美紀が医者に行ったら、3ヶ月と言われたそうだ。
自分の子供ができるなんて不思議な気持ちだ。
5月20日(昭彦28歳)
最近は残業をかなり増やしている。
子供のためにも金を貯めとかないとな。
11月17日(昭彦29歳)
もうすぐ出産予定日だ。
美紀には携帯電話を持たせてある。
もし何かあってもすぐに連絡できるようにだ。
俺は気が散って、とても仕事どころじゃない。
子供の名前も考えた。
男の子なら「晶」で「あきら」、
女の子なら「裕」で「ゆう」だ。
どっちかといえば男の子が欲しい。
七冊目