幸せ家族
−長男・悟の場合−


長男・悟

七時になると晩ごはんが始まる。
だから時間が近づくと、自分の部屋から一階に下りていくんだ。

下に下りるとパパがちょうどお風呂から上がって
テーブルにつくところだった。

僕が椅子に座るとパパが食べ始めたので
それを見て僕も食べ始めた。

「悟は何年生になったのかな」

急にパパが聞いた。
パパはいつも無理に話をしようとするんだよね。

「六年生よね」

ママも無理に話に加わってくる。
話したくなかったら黙ってればいいのに。

「そうだよ。来年はもう中学生だよ」
でも中学になったら今みたいに遊べなくなるかな。
面倒くさいな。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「今日のごはんもうまいな」

「うん。みんなで食べるとおいしいね」
でも僕、ピーマン嫌いなんだよね。
ママって面倒くさい時、いっつも野菜炒めにするんだもんな。

「ありがとう。そう言ってもらえると作った甲斐があったわ」

「作った」って言ってもレンジでチンしたやつとかばっかりじゃないか。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「今日は悟がごはん作るの、手伝ってくれたのよね」

「うん。野菜とか切ったり、お皿にシチュー入れたのも僕だよ」
だってママ、手伝いしなかったらうるさいんだもん。
たまに手伝いとかしてた方が、何かとやりやすいんだよね。

「そうか。悟、えらいな」

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「これからは男の人も料理ぐらいできないとね」

「そうだな。今は男もそういう事する時代だな」

「うん。これからも僕がんばるよ」
学校の宿題だってあるのに面倒くさいな。
自分が楽したいからって手伝わせるなよな。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「悟。どうだ、学校の勉強は」

「うん。結構いい方だよ。こないだのテストも90点だったもん」
悪かったテストはママには見せてないもん。
見せたらどうせうるさく言うんだし。
人間、勉強だけじゃないだろ。

「そうね。がんばってるみたいね」

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「パパもお仕事がんばってね」

「ああ。バリバリ稼ぐぞ」

「がんばってね。パパ」
せめて課長ぐらいになって
僕のおこずかいも増やしてくれないかな。
友達の中でも一番少ないんだよね。
小学生だって何かとお金使うんだよ。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「実際、仕事の方もうまくいっててな」

「すごいじゃない。さすがパパね」

「やったね、パパ。僕、友達に自慢できるよ」
ママの財布から一万円もらってゲーム買っちゃった。
でも、ママ気づいてないよね。
いっつも財布放りだしてるし、家計簿だってつけてないもんね。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「休みの日まで仕事してるもんね」
こないだの日曜だって遊園地に行く約束してたのに、
仕事に行っちゃって。
夏休みだって、どこにもいかなかったし
宿題の日記書くの、すごい大変だったんだよ。

「今度の日曜はどこかにでかけような」

パパの約束はいっつもあてにならないんだ。
期待するのはもうやめるよ。

「あら、良かったわね。悟」

ママだってわかってるくせに、そういう事言うんだよな。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


長男・悟

「ママもどこか行きたい所、考えといてよ」

パパ、ママのご機嫌とろうとしてるみたい。
昨日の夜、ケンカしてたもんな。

「あら、嬉しいわ。どこに連れてってもらおうかしら」

どうせママもそれほど期待していないくせに。

「ねえ、僕の入れたシチューも早く食べてよ」
理科の実験で使った薬、パパとママのシチューに入れといたんだ。
先生が「とても危険な薬です」って言ってたやつ。

こないだテレビでやってたんだ。
パパもママも死んだら、僕に生命保険のお金が入るんだって。
僕、一人で生きていくんだ。

グローバル
父・洋二の場合
母・美江子の場合
長男・悟の場合


戻る戻る
表紙へ表紙へ