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凶悪

凶悪

凶悪

  • 山田孝之
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茨城県で実際に起きた「上申書殺人事件」を描いたもので、
殺人犯である元暴力団組員が事件の首謀者についての情報を明かしていく話。

冒頭から唐突に始まる残酷描写、そこから切り替わっての雑誌記者の様子は
しばらく意味がわからないまま観ることになるが、
回想シーンになるとそれらがなんだったのか綺麗に結びついていく。
把握できていなかった人物やいつの話だったかわからなかった場面が
うまく絡み合って真相が見えてくる流れは非常に気持ちいい。

荷物でも運ぶような気軽さで殺人やその処理を引き受けていく元組員と、
金のために罪の意識なく手順を決めていく不動産ブローカーの
タガが外れた様子が目を引く。
明らかにズレた感覚を持つ登場人物が次々と出てくるが、
キャスティングが素晴らしく、
怖いもの見たさで彼らの異常なやり取りに注目してしまう。

残念なのは主人公である記者周辺の話がつまらないことで、
取材の様子や家庭内の問題、裁判に伴うところなどが、
凶悪犯たちを観ているときと比べて退屈すぎる。
特に母親の認知症や家庭不和などは描かなくてもまったく問題がなかった。

サイコパスを扱ったホラー映画というか、
闇金ウシジマくん」や「冷たい熱帯魚」のような雰囲気を持つ作品なので
人によっては嫌悪感に耐えられないかもしれない。
逆に、そういったエグい作品に好奇心を刺激される人には見応えのある映画。

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