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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

14歳の少年が巨大ロボットのような人造人間に乗せられ、
次々と襲来する敵と戦わされていく話。
全26話で構成されたテレビアニメ版
追加・再編集したリメイク版で、全4部作の1作目となる。

主人公がいろいろな人と出会いつつ
何体かの使徒を撃破するシリーズ序盤の流れが
綺麗に映画としてまとめられているので、
エヴァをまったく知らない人でも気軽に観れる内容。
どの戦闘も迫力にあふれ、まさに死闘といった雰囲気が続く。

ただ、テレビアニメ版を知っている立場からすると
追加された映像は確かに格段に美しいのだが、
話のテンポや演出としては旧作の方が数段上に感じた。

たとえばヤシマ作戦(対ラミエル戦)の場合、
旧作では短いカットと説明で
何をどうしようとしてるのか短時間で理解させつつ
速やかに作戦決行まで進んで行ったが、
今作では割ともたつく上に
初見の人には作戦内容自体がややわかりづらい。

使徒と撃ち合う場面についても
両者の撃った光線が中央でぐにゃりと干渉し合い、
互いに外れたのちすぐに次弾の装填と準備、
それよりも早い敵の再攻撃をすかさず零号機が防ぐなど、
息を呑むテンポが最高だったのだが、
今回は「弾が外れた」というより「効果がない」という演出で
旧作のときに感じた興奮と比べるとイマイチ燃えない流れになった。

零号機の盾もただの強力な盾となっており、
スペースシャトルの底部から急遽作ったという
ユーモアとリアリティがなくなってしまった。

同様に、戦略自衛隊技術研究所から陽電子砲を徴発する際に
天井をエヴァで剥ぎ取ってしまうという画的な面白さも存在しない。
このあたり、シリアスな中にも独創的なユーモアがあっただけに
削られてしまったのは非常に惜しい。

使途に関しても攻撃する間際に変形する時間があるため、
旧作で感じた「近くに行くと一瞬で反撃される」という
圧倒的な恐怖感と迫力がやや軽減されたように感じる。
倒した瞬間についても、映像的には美しいが
火を噴いて墜落していく姿の方が
闘いの余韻としてはよかったのではないか。

全体的に、1話30分という
テレビアニメ版のときのテンポが崩れたように思う。
息もつかせぬまま一気にクライマックスまで持っていくノリが
それだけでひとつのスピード感につながっていたが、
本作はそのあたりの引き締まり感が弱まってしまった。

テレビアニメ版をまったく知らない人にとっては悪くないリメイクだが、
今作の内容が気に入ったなら、ぜひ旧作も観て欲しい。

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