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反社会学講座


日々、ニュースやワイドショーに取り上げられている理論に
真っ向から反対するジョーク交じりの本。

「凶悪事件が増えている」「パラサイトシングルが増えて情けない」など
テレビでよく出される社会問題だが、そういったものの根拠が怪しかったり
データが不明瞭だったりするところに鋭くツッこみ、
逆に、そんなことは言えないという理論をデータを基に訴える。

これまでそれが真実なんだろうと鵜呑みにしていたことも
よく考えたらデータの見せ方や数字のマジックだったりして
視野を広げるべき警鐘としてはなかなか面白い。

反論するためにややひねくれた見方をしているような部分もあるが、
本全体がブラックジョークだったり皮肉の集まりなので大きな問題ではない。
今の社会が以前と比べて悪くなったと嘆く前に一読をおすすめする。


「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!


タイトル通り、朝4時に起きて生活を始める流れを推奨する本。
単に現在の活動時間が早朝寄りにズレるというだけでなく、
朝に仕事やアイデア出しを行うことで普段以上の成果を出せる、という内容。

序盤はひたすら4時起きを成功させるための手段や考え方について書かれているので
目覚ましさえ4時にセットすれば起きれる、という人にとっては
この本の3分の1が無駄になる。これは非常に無意味。

もちろん同じ睡眠時間であっても4時に起きる自信がない人や、
普段から目覚まし通りに起きるのが苦手な人には有益かもしれないが、
作者のアイデア通りに行動したから起きれるとは限らない。
そもそも似たような主張を延々とページを割いて何度も書くので
読んでいてなかなか話が進まず、本としてのテンポが悪いのは難点。

中盤になると4時起きをするようになったきっかけとして、
何もかもうまくいかなかった時期の話を振り返り、
それらが4時起きすることですべてうまくいくようになったという流れが書かれる。
当時の自分の言動に関して反省の気持ちも書かれているが、
それでもそのダメっぷりにはイライラさせられた。

その内容はきちんと仕事をしている社会人であれば
何も4時起きしなくとも意識できている仕事観や責任意識であることが多く、
作者自身は4時起きにしたことで視野が広がったのかもしれないが
社会人において「4時起きでなければできないこと」、
「4時起きだからこそできること」ではない。

つまりはこの作者にとって「朝4時起き」がきっかけになって
社会人として成長した、というだけな気がする。
4時起きせずとも実行できる人や、すでに実現できている人にとって
何時に起きるかはあまり関係がないのではないだろうか。


就活のバカヤロー


就職活動、いわゆる「就活」について
筆者が思う悪い点を指摘する、というのがテーマの本。

実際、私も専門学校で就職活動を行う学生を指導しているため
就活の実態はかなり周知している。
この本は事実を書いている部分もあるものの、
「企業ごとに状況がかなり異なる点」についても
とにかく悪い場合の内容をひたすら書く傾向にある。

就職活動に必須の自己分析に関しても
「何も考えずに生きてきたバカ学生が自己分析しても
 『バカでした』という答えしか出てこない」と断言し、
「自分はバカ学生だった。勉強もサークルもろくにやってこなかった。
 でも将来は○○な仕事で世界を変えたいと思っている」
と言い切れる学生の方がよっぽど好感が持てる、とまとめる始末。
面接でこんなことを言う学生が本当に採用されるだろうか。

本には「99%の学生にとって資格は無意味」とも書いているが
ある一定レベルの知識を保証する手段として資格が有利なことは間違いなく、
特定の資格取得者しか受験を受け付けない企業が実際にあることも知っている。

体育会系で「精神力」「体力」「縦社会への順応さ」をアピールする学生に関しても
「体育会は有利というわけではなく、それだけでは評価できない。
 組織に守られて育ったがゆえに『実は精神的に弱い者も多い』という声が
 各社の採用担当者から聞こえてきた」などと根拠の怪しい理屈を出す。
体育会系というだけでプラスになることはなくとも、
その学生個人の貴重なアピールポイントには違いないはず。
「体育会系は精神的に弱いと思われてしまう」ように決め付けるだけの
ネガティブな意見は意味がない。

帰国子女に関しても
学生「アメリカに6年間住んでいたので英語が得意でTOEICは800点台です」
面接官「そうですか。英語力がおありなのですね。
     (帰国子女ならそれくらい取れて当たり前じゃん。英語だけかよ、こいつ)」
と、かなり感じの悪い面接例を書いている。
この学生の発言の本質としては「帰国子女」のアピールではなく
「英語力」に関するアピールのはずだ。
この本が書くように「語学ができるだけでは仕事にならない」のは事実だが、
他の学生と同レベルの技術や知識があった上で英語までできれば
かなり強力なアピールポイントになることは間違いない。

就活というものはその個人が持っている複数のポイントをアピールし、
その総合的な評価が他の受験者と比較して上回っていれば合格となるのだ。
それらを個別に取り上げて否定しても意味はないし、
ひとつひとつが小さな内容であっても積み重なると大きな評価につながる。

各章の最後にある「まとめ」は特にひどく、
非常に偏見に満ちた内容が箇条書きされている。

全体的にとにかくマイナス点ばかりを取り上げていて
就活している学生がこれを読んだところで
「結局どうしていいのかわからない」
「今までやっていたことはマイナスアピールになるのではないか」
と、路頭に迷ってしまうだけではないのか。

企業の実態を調べる方法としても
「○○という制度があるかどうかだけでなく、
 人事担当者や先輩社員に『具体的に』質問するといい。
 『その制度がウリだと言うのですが、実際に活用した社員は1年間で何人いて、
 従業員のうち何割ですか?』など、事実やデータを確かめるといいだろう」
と書かれているが、そんなことを不躾に聞いても
印象の悪い学生だと思われるだけだろう。

また、
「OB・OG訪問などをする際もぜひ企業が用意した人だけでなく、
 さまざまな部署の人、年次の人と会うことをおすすめする」
と言うが、そんなことが現実問題として可能だろうか。
ただでさえ緊張しているときに、対応してくれた人に交渉して
同期や先輩などを紹介してもらうなんてことはなかなかできない。

アドバイスする身として何でも知っていて
有効なコツを教えているかのように書いているが、
実際に学生の状況や感情を理解しているように思えない。

就職活動・採用方法のシステムや
学生の自己アピールの仕方を批判するだけなら誰でもできる。
この本を読んで
「自分の用意していたアピール方法では通用しないんだ」
「結局、自分の今の状況ではいい内定が手に入るはずがないんだ」
と諦めてしまうのは非常に問題だ。
結局のところ就活というものは、早くて多くの準備と行動をし、
たくさんの努力をした学生ほど希望に近い内定が手に入るのが事実なのだ。


プチ哲学


「ポリンキー」「ドンタコス」「バザールでござーる」などのCMを手がけ、
「だんご3兄弟」や「ピタゴラスイッチ」などの
ヒット作を作り出した佐藤雅彦さんの本。

「哲学」という単語が入っているが
難しい哲学的な雰囲気はまったくなく、
「そう言われると確かに不思議」な感じや
「そういう見方をすると面白いな」というネタが中心。

エピソードごとにイラストも入っているし、
文章量としても非常に読みやすく、
1冊読みきるのに1時間かからない程度。

これをコストパフォーマンスが低いと取るか
テンポよく内容を楽しめると取るかは読者次第だろう。


ステーショナリー ハック!


少し変わった文房具を紹介した本。

といっても実用性の低いネタ的な文具ではなく、
ビジネスで役立ちそうな着眼点の品々ばかりで、
あくまで実用的な部分を重視した品選び。

情報の整理や管理、筆記に関してどれだけ役立つかは個人個人で違い、
必ずしも作者の提案する実益が得られるとは限らない。
個人的にはそこまで衝撃を受けたり新鮮さを感じる品物はなかった。
しかし今まで知らなかった商品を知る機会としてはアリ。

ただ、商品を数品紹介する文章が続いた後、
その商品の写真と説明が6つほど載った1ページが挿入されるため、
推薦の文章を読んでいる段階ではページをめくらないと
商品の内容が確認できないのは読みにくい。
これならば商品の説明をひとつ載せた後、その商品に対する推薦文を載せる、というのを
いくつも繰り返してくれた方が遥かに読みやすかったはずだ。

この書籍が発行された2009年10月からあまり期間を空けずに読むなら問題ないが、
新しい文房具はどんどん生まれていくため、
「2010年度版」などと定期的に最新の文具で新刊が出ると嬉しい。


「仕組み」節約術


節約術というと、いかに生活の無駄を省くか、
今までの消費を切り詰めるか、といった感じで
考えるのが億劫になる手段の内容が多いが、
この本は手間や時間を消費する割に節約金額の少ない方法は否定し、
節約をすることによるストレスは排除する考え方。

確かに日々の食費を削ったり、楽しみを我慢したりする
いわゆるチビチビギスギスした「節約」は考えるだけで気が重く、
節約を意識しすぎて身動きが取れなくなるのは無意味だ。

この本はそういった意識をせずにコンスタントに支出を減らす方法を提案している。
もちろんすべてをいきなり実行することはできなくても
目先の出費に目くじらを立ててしまう人には非常に効果的。

さらには金額というわかりやすい変化だけでなく、
その作業にかかる労力や時間、
ストレスなどに目を向けた記述はなかなか共感できる。

難点としては、文字が大きく、行間も広いので
本の値段の割に中身のボリュームが少ないことだ。
別に内容を水増しする必要はないが、
それならもっと少ないページ数で薄くまとめて欲しいところ。


クルマの渋滞 アリの行列


タイトルだけ見ると雑学に近い内容の本かと思ったが、
実際にはしっかりとした「渋滞学」という学問を
わかりやすく説明した本だった。

わかりやすく、といっても、冒頭の渋滞の定義や
グラフによる結果、シミュレーションによる推測などは
プログラミングの経験や理系の知識がないと難しく感じるだろう。

そういう意味では表紙などの雰囲気と違って
「面白い本」というよりも「興味深い本」という位置づけ。

言いたいことはわかるし、こういう研究によって
日常生活がいろいろと改善されていくのはありがたいが
本として読むには結構疲れる内容だ。
ただ、第4章で語られる電車や踏切、銀行での行列といった
日常生活ネタが渋滞学で分析されているのは
雑学という意味でも面白いので、一番楽しめた部分だった。
第6章の前半部分、どうすれば渋滞を緩和できるか、という話題も面白かった。


ホームページ泥棒をやっつける


ホームページに掲載していた商品画像や文章が
別のサイトに無断流用されたということで戦った記録。

著作権という、確実に存在していながら
実際にトラブルになると証明するのが非常に難しい問題で
一体どうやって解決していくのかは興味深いところだが、
作者の書き方が妙に偏っているのが気になる。

敵対する二者のうちの一方が書いた本なので
どうしても主観的な表現になるのは仕方がないが、
それにしても感情的だったり嫌味を言いたがりすぎの傾向がある。

自分にとって得な行動をする人はいい人・良識のある人で
損な行動をする人はすべて非常識、というような書き方が多々あり、
自分の請求を棄却した裁判官に対しては
「ばつが悪そうに小声で判決を言った」とか
「嫌われていたのでしょう」などと表現するところは非常に後味が悪い。
訴えた相手の言動にしつこくしつこく文句を言うのは性根が悪すぎる。

自分の考えや行動に間違いがないと自信があるならば
なおのこと紳士的、中立的、客観的に説明して欲しかったところ。
下手すぎる挿絵も相まって、どうにも応援する気が失せる内容が多かった。


若者はなぜ3年で辞めるのか?


非常に面白く、わかりやすい内容。
会社という仕組みと、ルールや方針を決める人の思い、
そういった体質から来る弊害がきちんと説明されている。

終身雇用、成果主義、年功序列、リストラ、派遣社員など
用語としては誰でも聞いたことがあるものだが、
会社がどういう意図で動いているのかを知ることができる。
建前でどういう立派な理屈を言おうとも、
実際にはこういう都合があるのだ、ということがわかる。

また、一見、問題に対する正しい対策に思えても
長期的な目で見ると会社と未来がなくなってしまう場合があることも
わかりやすく端的に説明されていて興味深い。

会社に数年以上勤めたことがある人なら
誰しもが思い当たる内容が書かれており、
それが嘘ではない事実であろうということを感じる。
場合によっては自分の現状がいかに脆いものか実感して
非常に怖くなる部分もあるほど。

しかし、だからこそ事実を知っていて欲しいと思う。
若者を部下に持つ立場の人よりも、
これから社会に出る大学生、専門学校生、高校生にこそ
ぜひ読んで欲しい内容だと思った。

インパクトのあるタイトルだが、「若者が辞める理由を知りたい人」ではなく
「今後、3年で辞めてしまうかもしれない若者」になりそうな人向けなのだ。
少し将来が不安に感じる部分もあるが、何も考えずに
どこかにスムーズに就職できればいい、という浅はかな考えはなくなるはずだ。


プレステ3はなぜ失敗したのか?


この本が出たのは2007年の9月なので、
29980円に値下げをした新型が発表されている2009年9月現在とは
少し状況が違う部分もあり、「失敗した」と断言できるか微妙だが、
インパクトの大きいタイトルには違いない。

個人的にはXbox360派だが、ライバルマシンという目で読んでも
この本の内容はイマイチだった。

当然ながらタイトルで主張する「なぜ失敗したのか」の答えを知りたいのに
前半こそ価格面やソフト数の少なさといったデータを並べていったが、
次第にソニーという会社の方針や体質を批判する展開になっていく。

果てはウォークマンとiPodの比較になったりして
一体プレステ3の話はどうなったのかと思いながら終了。
結局はソニー叩きをしたいだけというか、
筆者のうっぷん晴らしに付き合わされているような気になってくる。

プレステ3のハードが失敗だとしても持ち直すとしても
もう少し中立的な立場での意見で書いた内容が欲しかった。
事実や信頼できる推測から失敗と書くならともかく、
これでは単に嫌いだから失敗と言いたいだけ、と思われても仕方がない。